2019年10月11日金曜日

しごとスタンス(1)

ケーキの味見した時の話。

自分の物事に当たる際の考え方。
仕事に対してのスタンス等を感じ取って貰えればと思い、書き記す事にする。

親戚からケーキの試食を頼まれる。
美味しいパン屋から、良いクラッカーが手に入ったと喜んでいたようだったが。
どうも、そのケーキの評判が芳しくないらしい。
わざわざその為だけに親戚一同を集められ、自分を含めたケーキの試食会となった。




ケーキの見た目は綺麗だ。
非常に見栄えが良く、美味しそうに思える。
しかし皆最初は美味しそうに食べていたが、食べ終える頃には明らかに口数が減っていた。
自分の判定もこれは並以下だと思う。
記憶を辿ると教科書通り、ごく普通の味のケーキは普通に作れていたハズ。
これは一体、どういう事なのだろうか。
ケーキを少しづつ、慎重にフォークで削り、ひと口づつ味を確かめていく。

味の境目。
それは、ケーキの底にあった。
クラッカーを潰してバターで焼き固め土台を作り、その上にスポンジケーキが載っており、その上からクリームを塗りデコレーションするという、ごく普通のケーキ構造。
ケーキのスポンジとクラッカー、に自分は違和感を感じる。
クラッカーの味が尋常でなく強く、逆にスポンジとクリームの味が異常に弱い。
例えるなら色味だけ立派な味のしない麺つゆで、素麺かひやむぎを食べているかのような。
原因が分かったので、意外と簡単に美味しくなることを告げる。
するとケーキ作りに自信があるらしい親戚は自分の言葉に親戚は怒り、今度自分の家でケーキを作りあう事となった。

当日。
鼻息荒く訪れた親戚に、追加でクラッカーを買ってきてもらうように伝える。
そのクラッカーは価格が高いらしく、親戚は渋った。
しかし、種明かしを最初に行っても納得しないと考え、追加でもう1回分調達してもらう。

自分はケーキ作る気など毛頭無い。
全部1人が作った方が証明になるだろう、との考えだったからだ。
文句を言う親戚に、作る人が変わると味が変わるからと難癖を付け、親戚に2つ分のケーキ作りの作業を全て行わせる。
やった事と言えば、ケーキ材料の小麦に、買って来て貰ったクラッカーを磨り潰して混ぜたものと、混ぜていないものを分けて用意し、クリームに使う砂糖を2割ほど増やした位だ。

ケーキを試食すると、案の定味の差は歴然としていた。
親戚のレシピ通りの物は、試食会とほぼ同じ味。
味の強さが全く違う、とてもアンバランスな食べにくいケーキであった。
自分が用意した、クラッカーを混ぜた小麦粉で作ったケーキは、土台に風味が劣っておらず。
上から下までしっかりと一つに纏まった、美味しいケーキに感じられる物だった。

1人で全部作ったのに、こんなにも味が違う。
不思議がる親戚に、こだわりのある素材を使う場合は、他の部分にも素材に見合う味が出せなければ、味のバランスがおかしくなり、美味しさが損なわれるという事を理解してもらい、自分達の様な一般人はリッツクラッカーで十分だという事を告げた。
自分がやったことは、味も値段も良いというクラッカーをレシピの倍使って、全体の味のバランスを整えただけである。
その後、もう一度普通の材料でケーキを作って貰うと、何時も食べているであろう、お仕着せ通りだがバランス良いケーキの味に戻った。

この件の顛末で話せる内容は、これで全部だ。
親戚は味に納得し、今後は普通の材料で作る事にしたらしい。
一件落着、自分も張り切って味を分析した甲斐があったというものだ。

今回はこんなところか。
これは業務ではないが、珍しい事柄に関わったので、書き残しておこうと思う。
役に立つかは知らないが、また何かを思い出した時に。



君の明日に、笑顔が灯るなら。